障害年金を受給するデメリットはあるか


1. デメリットをどう捉えるかは人によるが・・


障害年金を請求するかどうか迷っておられる方から、よく聞かれる質問として「障害年金を受給することに、何かしらのデメリットがないでしょうか?」というものがあります。結論から言えば、私はないと思います。もし、私が何かしらの障害を負うことになったら、請求は権利と捉えていますので、迷わず請求すると思います。これまでずっと、決して安いとは言えない年金保険料を納付してきたわけですから。

 

他方で、このようなご質問を抱く方は、障害年金の受給に関わって、様々な方面への細かい影響が気になっているのだと思います。そこで、ここではもう少し詳しく掘り下げて、検討してみたいと思います。


2. 社会的影響:偏見への懸念


確かに、社会保障や社会福祉のサービスの対象になることが、偏見や差別の原因になることがあります。この最もわかりやすい例は、生活保護でしょう。わが国の生活保護制度は、憲法第25条に定められている生存権を保障するためのとても重要な仕組みですが、生活保護を申請すると、世帯単位での収入や資産についての厳しい調査( ミーンズテストと言います)が行われます。この手続きは我々にとって、とても侵襲的な経験となりますし、結果として烙印が押され、偏見に繋がるリスク(スティグマと言います)もあります。

 

しかし、障害年金はまったく別物です。社会保険制度として、原則、保険原理に基づいて給付されるものです。これまで保険料を納付してきた方が、不運にも保険事故にあってしまったので、これを保険給付により補償しようとする公的な保険の仕組みです。つまり、障害年金を請求するということは、自動車保険に加入している人が、交通事故にあったことを理由として、保険金を請求することと、原理的には同じなのです。権利ですので、堂々と請求すればよいのです。

 

もちろん障害者に対する偏見や差別が、まだ根強く残っているではないか、という心配はもっともな心配だと思います。しかし、これは障害年金を受給したために生じるわけではありません。上の例で挙げた生活保護のスティグマ体験とはまったく異なります。さらに言えば、昨今、障害者に対する偏見や差別について是正していこうという動きが強まっています。社会は、より多様で包括的な方向に向かっていますので、漠然とした不安に流されるのではなく、現実的な態度で考えるのが良いでしょう。


3. 経済的影響:将来に対する不安


障害年金の受給が、将来の経済的安定に影響を与える可能性への心配もあるでしょう。例えば、障害年金が受給しやすい国ほど、障害者の労働参加が阻害され、結果的に障害者の経済的な自立を妨げる可能性があるといった国際的な研究報告があります。また、個別的に見ても、わが国の年金制度上、障害年金を受給をすると、以降の年金保険料の納付が法定免除となりますが、一方で、免除されるということは、保険料を納付しないということでもあり、将来もらえるはずの老齢年金の額が減額されるということでもあります。結果として、高齢になってからの生活が苦しくなるといった心配も出てきます。障害年金は、障害状態が改善すれば、受給権の失権もありえますので、障害年金だけに依存して、若いころから働くことを完全に辞めてしまうのは、将来のキャリアや収入のことを考えると、一定のリスクがあると言えます。     

 

このような、障害年金を受給することに対する懸念は理解できますが、しかし、障害年金が生活の安定や支援を提供する重要な手段であることは間違いありません。そして、障害者の生活を保障する仕組みは、障害年金だけでなく、障害者の雇用機会を確保する法的な措置などいろいろと存在しています。ですので、障害年金だけに頼ることを考える必要はありません。働いたら、即、障害年金の支給が停止されたり、失権したりすると誤解されている方もいますが、そのようなことはありません。障害年金を受給しながら、可能な範囲で働くという選択肢もあるのです。


4. 一番のデメリットは、請求の大変さ


障害年金の受給自体にデメリットがあるわけではないということを、ご理解いただけたでしょうか。

 

もし、デメリットがあるとしたら、それは障害年金を受給することに対するデメリットではなく、受給のために行う請求の大変さが、デメリットである、と、私は考えます。請求手続きに慣れていない方が、障害を抱えながら、年金事務所に何度も足を運び、難しい年金制度を理解した上で、細かく煩雑な書類を自力で作成して提出する、そこまでした結果、数か月後に不支給の通知が送られてくることもあるわけですから。

 

そのようなデメリットを回避するために、成功報酬で請け負う社会保険労務士にまるっとご依頼ください。当オフィスは、障害年金や障害者雇用の助成金に特化した社会保険労務士事務所です。請求に必要な手続きをまるっと成功報酬(着手金は除く)で請け負いますので、クライエント様のデメリットはほぼ皆無だと言えます。相談は無料ですので、お気軽にお問合せ下さい