障害者雇用助成金とは


1. 助成金と補助金の違い


どちらも国が事業者に提供している金銭であり、返済が不要であるという点は同じです。しかし、その位置づけや性格は異なるものです。具体的には、目的、管轄、支給金額、受給のしやすさなどの面において、両者の違いは明らかです。

 

助成金を管轄しているのは、主に厚生労働省です。その目的は、雇用の安定や労働環境の改善、労働者の能力開発に資することなどに置かれています。そして、助成金の支給金額は、数十万円から大きくても数百万円程度となります。要件を満たせば、原則として必ず支給されます。要件は、助成金の種類によってさまざまですが、共通している要件としては、例えば、労働関係の法令を遵守していることなどが挙げられます。

 

一方、補助金を管轄しているのは、主に経済産業省や中小企業庁です。その目的は、新規事業の支援や地域振興、公益につながる事業の促進などとなっています。国が取り組んでほしいと思っている事業に取り組む事業者に対して、その事業資金を援助するのが補助金だと言えるでしょう。ですから、要件には、事業計画の審査が含まれます。申請をしても採択されるとは限りません。採択された場合の補助金の支給金額は、数百万円から数十億円のものまで存在します。受給しづらいかわりに、受給した場合の金額は大きいというのが補助金の特徴です。


2. 支給申請は誰に依頼すべきか


助成金の支給申請の代行業務は、社会保険労務士の独占業務であり、法律によりその業務は社会保険労務士に限定されています。助成金の申請や手続きは複雑であり、適切な法令遵守や文書作成が求められるため、専門家である社会保険労務士に依頼することが望ましいです。

 

補助金の支給申請の代行業務については、独占業務として定められている士業はありません。ただし、管轄官庁との関係から、中小企業診断士などの資格を持つ専門家が、補助金の支給申請や手続きのサポートを行うことが一般的となっています。

 

いずれの場合も、助成金や補助金の申請は専門的な知識や経験が必要であり、それぞれの分野の有資格者に依頼することが重要です。専門家の助けを借りることで、適切な手続きや法令遵守が確保され、申請プロセスも円滑に進むことでしょう。


3. おおまかな助成金の分類と活用の仕方


助成金には、おおまかに雇用関係助成金と労働条件等関係助成金の2種類があります。雇用関係助成金には、雇用を維持したり、雇い入れを促進したり、ワークライフバランスを支援したりする目的の助成金などが多数あります。労働条件等関係助成金には、労働時間の適正化や休日確保を促すためのもの、職場での産業保健活動を支援する目的の助成金などが多数あります。

 

これらの助成金は、将来にわたって存在し続ける保証はありません。ですので、要件に該当するなら、早めに支給申請をしたいと思われることでしょう。

 

しかしながら、助成金の数は膨大で、要件は細かく、そして毎年のように変更があります。すべてを正確に把握するのはもはや困難です。そうであるなら、支給申請をするにあたっては、小手先の技術に頼るのではなく、基本に立ち返って、事業所の経営理念のもとに、それを具現化する人事労務の方針をきちんと作ったうえで、それに適った助成金を探す、という手順で、ある程度腰を据えて進めるのが良いでしょう。


4. 障害者雇用助成金の種類と位置づけ


具体的に障害者雇用助成金は、雇用保険を財源とした助成金と、障害者雇用促進法による雇用納付金を財源とした助成金の大きく二つに分けられます。両者は、管轄が異なっており、その位置づけや申請方法にも異なる部分があります。

 

雇用保険を財源とした助成金は厚生労働省が管轄しており、こちらは障害者を含む失業者一般に共通するニーズに対応するためのものという意味合いが強いです。例えば、求職している障害者を新規に採用したり、非正規社員である障害者を正規社員にキャリアアップさせたりするための助成金などが用意されています。

 

一方、雇用納付金を財源とした助成金は、独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構が管轄しており、こちらは障害者に特有のニーズに対応するための助成金となっています。例えば、障害者を職場で支援する支援員を配置したり、休職中の障害者の職場復帰を支援したりするための助成金などが用意されています。

 

当オフィスは、数多くある助成金の中でも障害者雇用に関するものに特化しています。そうすることで、障害者雇用助成金をすみずみまで把握できることはもとより、単に助成金を受給するだけではなく、そのプロセスを通じて障害者の雇用管理を支援し、より良い雇用環境を整えるという本来の目的に注力ができると考えています。